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オーディオ機器製造・配線組立・精密部品加工を行っております。
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FR-64sのオーバーホール前と後を紹介!
2024-06-12
FR-64sオーバーホール前
FR-64sオーバーホール前針圧目盛リング中心
FR-64sオーバーホール前
FR-64sオーバーホール前リフター側面
FR-64sオーバーホール前
FR-64sオーバーホール前接点
FR-64sオーバーホール後
FR-64sオーバーホール後全体
FR-64sオーバーホール後リフター上部
FR-64sオーバーホール後
FR-64sオーバーホール後接点
FR-64sオーバーホール後
FR-64sオーバーホール後DIN5P
こんにちは!

最近フィデリティーリサーチ社のFR-64sやFR-66sのオーバーホールが国内・海外共にご依頼が多く嬉しい限りです。
FR-64sや66sは本当に頑丈かつ機能美に優れていて、余程高いところから落としたとか、重いモノを上に置いてしまっていたとかなければ
オーバーホールをしてあげると当時と同じようにしっかりレコード再生の軸になってくれます。

今回は特別に写真を載せますのでオーバーホールの前後でどのくらい変わるか紹介しましょう。
まずはオーバーホール前の写真を三枚。
いくら機能の方に支障が起きづらいといいましても、直さなければいけないポイントはあります。

一つ目は外観です。SUSですので寂びづらいのですが、日本の多湿な環境、そしてお客様が素手で取り扱っていますと
少しずつ皮脂が付着しそこから腐食→錆や変色に繋がっていきます。また誇りがこびり付いてシミのようになってることもしばしば。
このようなものは流石に完全にはクリーニングできませんが、出来る限り綺麗にクリーニングさせてもらっております。

二つ目は針圧目盛リングが動かなくなることです。こちらは非常に多い症状でして、長い間動かさないとグリスが硬化して動かなくなります。
また目盛を止めるピンもグリスの影響で動きが悪くなり最終的に埋まる事でカチカチといったストップが出来なくなります。
上記の症状は外から直す事は不可能なので分解しなければなりません。
これは仕様が知らない人が無理やり直そうとしますとリングや内部スプリングの破損に繋がるので
固まっていましたら素直にオーバーホールに出すことをオススメします。

次によくあるのがリフターの動作不良です。どうしてもFR-64s等の構造上リフターを使用していないと中のシリコンが漏れます。
シリコンにも重さがありますし、レバーや底蓋のほんのわずかな隙間から漏れてきます。
こうなるとリフターを用いてレコード針を上げる事は問題ないのですが、下げる時にシリコンが効かないので
かなり速い速度でストンと落ちてしまい針にダメージを与えるか、または手で針を落とすのと同じようにリフターと連動して落としていく形になります。
またリフタープレート上部のゴムも劣化して割れたり、なくなったりします。
上記の症状もオーバーホールで改善できます。底蓋やリフタープレートは代替品がございますので安心してください。
また漏れたシリコンも綺麗にクリーニングさせていただきます。

三つ目は接点関連です。特にヘッドシェル装着側に問題が多いのですが、ヘッドシェルのセンターピンが通る場所が削れて幅広になっていたり
ピンが埋まってしまったりすることがあります。コネクターは樹脂なので高温すぎるところに放置しているとやはり動きが悪くなることもあります。
そして劣化もしますので分解中に樹脂が外れる場合もございます。最善を尽くして修理しますが、修復不可能な場合、弊社で通常使用しております
コネクターと交換になる事ご了承ください。

四つ目は写真はないのですがカウンターウエイトシャフトが外れていたり、空回りしていることがあります。こちらも弊社で接着しなおせるのですが
前に個人でエポキシ液を使用して接着したお客様がいらしたのですが、エポキシ液はハクリ剤を用いても色々支障をきたして修復不可能になる事がありますので
絶対に使用しないでください。

逆に針圧をかけるゼンマイ部は余程の事がない限り(高所からの落下など)出荷時同様安定しております。
もしこちら交換希望でしたら御見積が跳ね上がるのでそこはご了承ください。

外観上わかる支障はこの辺りになります。
付属のヘッドシェルFR-S/3のネジ交換希望などありましたら、お伝えいただければ交換させていただきます。


それでは諸々オーバーホールをした後の写真を紹介いたします。
まずは外観です。全体的に綺麗にクリーニングされ、ヘアラインをかけ直せる箇所は軽くかけ直しております。
パイプのアームレストに収まる場所もキズ等で錆びやすい箇所ですが、出来る限り綺麗にしております。
針圧目盛リングも分解しクリーニング、グリスを再注入して滑らかに動くよう復活しました。
リフターもそのもの本来のスピードで動くようになり
接点からDIN端子までもしっかり交換、弊社のオーバーホールですと接点を金めっきからロジウムに変更しております。
こちら接点不良を起こしづらいのが特徴です。再び長くお使いいただけるよう配慮しております。
ただ、音質的に金めっきよりカッチリしますので金めっきをお好みでしたらご依頼時にその旨伝えてもらえればと思います。
線材も新しくなり音質もリフレッシュします。こちら銀線交換やお客様の持ち込みの線材交換もいたしております。


記事の冒頭でもお話致しましたが、フィデリティーリサーチ社のトーンアーム、特にFR-64sやFR-66sは非常に優秀なトーンアームです。
頑丈ですし、音質も持っているフォノカートリッジの魅力をしっかり支え表現してくれます。
新しいモノには新しいモノの魅力が詰まっておりますが、古き良きものはどこまでいっても名機です。
是非押し入れに眠っているトーンアームをオーバーホールして、青春時代の音楽を、その時の感情と想い出の海に身を任せてみては如何でしょうか?